先日、プライバシーマーク(通称Pマーク)取得しているNTT西日本が大規模な情報漏えいを起こしたことで、Pマークの取り消しが検討されていることが記事になりました。Pマークとはそもそも何か、その取り消しにはどんな意味があるのか。調べてみました。
第1章: プライバシーマーク(Pマーク)とは何か?
プライバシーマーク、通称「Pマーク」は、企業や団体が個人情報の適切な取り扱いを行っていることを証明する制度です。取得することで、信頼性が高まり、顧客からの信頼も得やすくなります。しかし、Pマークを持っていたとしても、それを維持することは重要です。
Pマーク取得企業は、約17,500社
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)によると、2023年3月31日時点で、17,480社にプライバシーマークが付与されています。うち、13,373社がいわゆるサービス業に属する企業です。お客様の個人情報を預かる機会と頻度が多いこと、Pマークの浸透により、Pマークが集客や取引にメリットがあると認知されていると推察できます。
第2章: Pマークの取り消しの意味?
Pマークを取り消すことは、個人情報の適切な管理ができなくなったことを意味します。これにはいくつかの理由が考えられます。たとえば、情報漏えいが発生した場合、またはプライバシーマーク事務局からの監査で問題が指摘された場合などです。
プライバシー問題の深刻性
Pマークは、個人情報保護の重要性を示すシンボルです。その取り消しは、組織が個人情報を適切に扱っていない可能性を示唆します。
2. 信頼性の低下
Pマークの取り消しは、お客様や顧客の信頼性の低下につながります。個人情報の不適切な取り扱いによって、組織の評判が悪化します。
3. 法的影響
取り消しは法的な問題を引き起こす可能性があります。個人情報保護法に違反することが明らかになり、罰則を受ける可能性があります。
プライバシーマークの取り消しは組織にとって深刻な問題であり、適切な対策と再取得のプロセスが必要です。個人情報の適切な管理と保護を確実にするために、組織は効果的な措置が必要です
第3章: Pマークの取り消しによる影響
Pマークを取り消すことで、企業や団体には様々な影響が及びます。まず、信頼性が低下し、顧客からの信頼を失うリスクが高まります。顧客や利害関係者からの信頼が揺らぐと、ビジネスに大きなダメージを与える可能性があります。
信頼性低下
Pマークは個人情報の適切な管理と保護を示すシンボルであり、取り消しが企業の信頼性を低下させます。お客様やパートナーは、個人情報が保護されていない可能性を考慮し、企業への信頼を失います。
顧客からのクレーム増加
Pマークの取り消しは、顧客からのクレームが増加する可能性が高まります。個人情報の保護に関する不安が広まり、不適切なデータ取り扱いに対する不満が表面化します。
法的問題と罰則
Pマークの取り消しは法的な問題を引き起こす可能性があります。個人情報保護法に違反する場合、企業は罰則を受ける可能性があり、法的なトラブルに巻き込まれます。取り扱いに注意を払うことが極めて重要です。
第4章: Pマーク取り消しのデメリット
取り消しのデメリットとして、法的な規制が強化されることが挙げられます。個人情報の取り扱いに関しては、各国で厳しい法律が存在し、それらを遵守する必要があります。
また、Pマーク取り消しは大きなニュースとして取り上げられることがあります。企業の信頼失墜につながりかねません。
また、非常に大きいのが、取得に要した費用がムダとなることです。プライバシーマークにかかる費用は、公式サイトによると、大規模事業者では新規取得で約120万円、更新時(2年毎)は90万円が必要です。これは手続きにかかる費用ですので、プロセス整備などのコンサルティングを外部に委託する場合は、その何倍もの費用を要しています
第5章:Pマーク取り消しの事例
実際に取り消しとなった事例は過去にあります。前提はあるので、今回のNTT西日本の件についても条件によっては取り消しとなる可能性もあります。
事例1)情報処理サービスの事例(2000年7月)
名古屋市の情報処理サービス業者であるメイケイは、業務委託先の管理を徹底しておらず、受託業務で使用する書類を紛失したことが理由で、プライバシーマークの認定が取り消されました。これは1998年4月の制度発足以来初めての事例でした。
事例2)教育サービス提供企業の事例(2014年11月)
2014年に大手企業であるベネッセコーポレーションは約3500万件の顧客情報を漏えいしたため、プライバシーマークの取り消しが行われました。
事例3)就職サービス提供企業の事例(2019年11月)
2019年にリクルートキャリアは新卒採用サイト「リクナビ」を利用した人のデータを基に、企業に対していわゆる「内定辞退率」などを販売していたことが発覚し、プライバシーマークの取り消しが行われました。
第6章: Pマーク取り消しの再取得までのプロセス
Pマークを取り消した後、再取得するプロセスは厳格です。再取得には、以下のステップが含まれます。
個人情報保護体制の見直し
まず、適切な個人情報の保護体制を整える必要があります。これにはセキュリティ対策の強化や社内規程の見直しが含まれます。
再申請
プライバシーマーク事務局に再申請を行う必要があります。再申請時には、以前の問題点が解消されたことを証明する必要があります。
審査と再取得認定
再申請後、審査が行われます。事務局の審査に合格し、監査で問題が指摘されなければ、再びPマークを取得できます。
第7章: 再取得までの時間と労力
再取得までにかかる時間と労力はケースバイケースです。問題点が深刻であれば、改善には時間がかかることもあります。また、審査の過程も時間を要します。再取得までの期間は、プライバシーマーク事務局のスケジュールや事情にも左右されることがあります。6か月から10か月を要する、とも言われますので、それ以上を要する可能性もあります。
第8章: まとめ
Pマークは個人情報の適切な管理を示す重要な証明ですが、取り消しは信頼性の喪失や法的制約の増加といったデメリットをもたらします。再取得には労力がかかり、時間もかかることがあります。したがって、Pマークを持続的に維持することが重要で、適切な個人情報の取り扱いに努めることが必要です。
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